優秀な翻訳者との巡り合い

翻訳は孤独な作業です。そして、仕事は常に不安定です。翻訳の仕事は、いつでも適量が目の前にあるわけではないからです。私はある企業に勤務して翻訳を担当していましたが、翻訳の仕事はそう多くありません。ふだんは他の仕事をしていて、必要となったときにお呼びがかかります。そういったお呼びがかかると、たいていは特急です。のんびり自分のペースで仕事をすることはできません。社内クライアントのスケジュールに合わせた文書作成が求められるわけです。

フリーランスになると、仕事はもっと不安定になります。続けざまに大きな案件にお呼びがかかることがあるかと思えば、何ヶ月もの間、半ページの通信文の翻訳さえ回ってこないことも珍しくありません。世間の景気とか社会動向、流行に左右されることだってあります。だから受注できた仕事には無理をしてでもしがみつきます。複数の案件がかぶったら、徹夜してでも両方やろうとしてしまいます。

そんな無理を重ねて、プロとして生きていくことはできません。ではどうすれば多少でも安定するか? それは、一緒に動いてくれる仲間をつくることです。仕事を分けあい、互いの弱点を補いあう仲間ができれば、プロの翻訳者として立つことができます。

私がそんな仲間と出会ったのは、ある会社で社内翻訳者として仕事をしていたときでした。他の部署に配属されていたその同僚に、自分の翻訳のチェックを頼んだのがきっかけです。彼女は英語ネイティブでしたから、私の書いたぎこちない英文を実に読みやすい文章に手直ししてくれました。

もっとも彼女は、日本語の文章を書くのは得意ではありませんでした。そこで、私は自分のところに回ってきた英訳の仕事を彼女に頼み、彼女は和訳の仕事を私に回すようになりました。そのチームワークが実にうまくいったので、彼女が退社して帰国する折、私は彼女にフリーランスの翻訳者として私を助けてくれるように頼みました。

これが現在の私たちの事務所の原型です。それ以後、私も会社をはなれ、そして数多くの新たな出会いがありました。互いに仕事を助けあい、そして互いにスキルを磨き合う仲間が何人かいて、ようやく私は「翻訳者になれたのだなあ」と思えるようになりました。

それからずっと、このスタイルでやっています。「少数精鋭の翻訳事務所」、それがd-lights翻訳サービスです。


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