定訳は必ずしもベストの訳ではない

この記事は、2010/02/04にポストしたものの再掲です。

業界で多用される単語には、その業界独特の定訳が存在します。たとえば医学業界ではoperationは手術、practiceは開業(もしくは実践)です。契約書でoperationは操業や営業、法曹業界でpracticeは訴訟手続きとなります。こういった単語は、だいたい定訳どおりにやっておくのが間違いがない、あるいは定訳を外した訳をするとその業界のベテランであるクライアントにはすぐにわかってしまい、「素人だな」と評価を下げることになります。そこで、定訳を探すことが翻訳商売ではかなり重要なことになります。

ところが定訳を苦労して見つけても、必ずしもそれが正しいとは限りません。よくあるのは定訳が変わってしまって時代遅れになっている場合です。たとえば、lupusにはかつて「狼瘡」という定訳がありましたが、現在はこの訳は使われません。こういう古めかしい言い方を使ってしまう場合がひとつ。

もうひとつありがちなのは、定訳そのものが原文の意味を正しく表現しない場合です。こっちのほうがどちらかといえば厄介です。実は今日もそういう単語に出くわしました。こういうときはクライアントへの説明に苦労します。が、定訳に甘んじていては正確な翻訳はできないと、がんばりどころでもあるわけです。


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