品詞にとらわれてはならない

この記事は、2007-05-30 4:57:56 pmにポストしたものの再掲です。

英語にも日本語にも、名詞、動詞、形容詞などの基本的な品詞はそれぞれあって、それぞれ辞書的な意味でも対応がとられています。しかし、もともと異なった言語体系なのですから、実際の文章のなかでは、必ずしも英語の名詞が日本語の名詞、英語の動詞が日本語の動詞に対応するとは限りません。

有名な文例としては、中学生を悩ませる次のものがあります。

  • 例:I’m not a good English speaker.

これを「私はいい英語の話し手ではありません」とやると、先生に叱られます。これはもちろん、「私は英語が上手に話せません」と訳さねばならないのです。わけのわからない中学生は、おろおろしてしまいます(かつて私がそうでした)。

これをいわゆる「意訳」の例と考えるべきではありません。むしろ、かなりべったりと原文に沿った翻訳です。ただし、形容詞であるgoodを副詞「上手に」と訳し、形容詞として用いられているEnglishを名詞とし、さらに名詞であるspeakerを動詞「話す」と訳しています。英語と日本語で品詞の対応を外しただけで、基本的には逐語的に翻訳しているのです。

英語の構文を解釈するために、何が動詞で何が名詞、形容詞、副詞であるのかをきっちりと読みこなすことは非常に重要です。これが甘いと、とんでもない誤解が生じてしまいます(たとえば、His casual talk has set me free.という文で、talkやhasやfreeを誤って動詞と読んでしまうと、正しい解釈ができなくなってしまいます)。しかし、ある単語を名詞として認識することと、その単語を名詞として翻訳するかどうかは、別な次元の話です。

異なった言語体系の間では、品詞にとらわれてはなりません。それは、日本語には存在しない冠詞や、英語には存在しない助詞をどう訳せばいいのかという問題を考えてみればすぐに理解できることです。これらは、本質的に別の品詞として訳出しなければならないのですから。


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