アメリカで出版するための簡単な方法

この記事は、2009-03-09 3:14:36 pmにポストしたものの再掲です。

先日、あるクライアントからの依頼で、アメリカ国内向に本を1冊出しました。日本語の原作を翻訳するというだけでなく、出版のお手伝いまでさせていただいたわけです。d-lightsは翻訳事務所であって出版エージェンシーではありません。ですから、もっとも有効な出版プロジェクトを提供できるとは決して申しません。そういう事業は、やはり現地の出版事情に通じたプロフェッショナルが担うべきでしょう。しかし、多くのことがWeb化されるこの時代、簡便に形をつけることであれば、私どもでもできないことではありません。

出版という事業が複雑なことは、アメリカも日本も、その程度においては変わらないようです。しかし、これをごく単純に、「印刷された本をつくる」ということに限定してしまえば、それは印刷技術さえあればどうにでもなります。そして、印刷がコンピュータ化されたこの時代、家庭用のパソコンでさえ、印刷に入稿するために必要なデータを整えることができます。そして、もう一歩進めて「印刷された本をつくり、それを書店やオンライン書店で入手可能にする」というレベルまで進むのも、オンデマンド出版という方法をとれば可能な時代になっています。

代表的なオンデマンド出版社として、Luluをとりあげましょう。Luluでは、著者がデータをアップロードすれば、即、無料で本を注文可能な状態にしてくれるサービスを提供しています。オンデマンド印刷機というプリンタの親玉のような機械を設置していて、本を発注すれば1冊単位でそれを印刷し、発送してくれるわけです。実際には、データをアップロードしたまま1冊も本を注文しない著者はいないでしょうから、印刷業者側から見ればこれだけでも最低限の発注は確保できる仕掛けです。もちろん、著者以外の一般からの注文も可能になります。

そして、これにはさまざまなオプションが用意されていて、そのなかにISBNの付与や書籍カタログへの掲載が含まれます。これらのオプションを選ぶと、原理的には全米の書店から本が発注可能になります。もちろん、Amazon.comのようなオンライン書店からも発注可能。これで、形の上では「アメリカで本を出版した」ということができるようになるわけです。

ですから、英文で原稿をお持ちの方は、せいぜい数千円のコストで「アメリカで出版」が可能です。もちろん、形の上で出版したということと本が売れるということはまったく別の次元の話です。形式上ISBNがつき、Amazon.comの検索に上がってくるようになったとしても、1冊も売れないということも十分にあり得ることです。それでも、これが意味をもつような局面は様々に考えられるでしょう。必要があればやってみて損のないプロジェクトだろうと思います。

そして、英文で原稿をお持ちでない方なら、少々コストは嵩みますが、d-lightsのような翻訳事務所に翻訳をご依頼頂ければいいわけです。英文原稿が上がってきたら、そのままLuluにアップすればいいのです。

今回、私どもにご依頼頂いたお客様は、英文原稿をお持ちでないだけでなく、英語で書かれたWebサイトにご自分でアップロードするのに躊躇されていました。多くの日本人が外国サイトでクレジットカードを使う時代ではあるのですが、それでもやっぱり多数派は、外国語で書かれたサイトをできれば使いたくないとお考えでしょう。そこで、今回は、手数料を頂いた上で、私どもがLuluへのアップロードやそれ以後の様々なオプションの実行を代行させていただいたというわけなのです。

ですから、翻訳料から代行料まで含めれば、決して低額ではないコストになりました。それでも、きちんとした出版を試みて現地出版エージェンシーに当たるよりは桁違いに低い金額で済んだのではないかと思います。「アメリカで出版する」ということだけが目的であるなら、こういう方法もあるのです。


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