翻訳すべきではない文書を前に

この記事は、2011/06/09にポストしたものの再掲です。

さまざまな翻訳案件の中には、明らかに翻訳が不要なものが入ってくることがあります。そんな時どう対応すべきか、困ることがあります。

迷うまでもないケースもあります。例えば以前、ある個人のお客様から、「海外からこういうメールが来た。重要なもののようなので翻訳してほしい」と、依頼がありました。最初の一文を読んだだけで、これがスパム、詐欺メールの類であることは明らかです。そこで、その旨をクライアントに伝え、この案件は取り下げられました。

こんなふうに、翻訳すべきでない文書を依頼されたとき、それをこちらで判定するのは、「馬鹿正直」なのかもしれません。そのまま依頼を受けていれば、請求書が書けたわけです。けれど、道義的に詐欺の片棒を担ぐようなことはできませんよね。こういうケースは、比較的単純です。

問題になるのは、ビジネス系の文書で、「どう考えてもこれはクライアントにとって無意味な情報だよなあ」というのがひしひしと伝わってくるような場合ですね。翻訳者は、翻訳をするのが仕事です。そういったビジネス上の判断は、余計なお世話です。

けれど、その翻訳は、ビジネスを助けるために依頼されているわけです。それが明らかに不要であるときに、そこで商売をするというのは、どう考えてもフェアじゃありませんよね。

互いに信頼関係が出来ているようなクライアントに対しては、翻訳にかかる前に文書の概略だけ説明して案件を取り下げてもらう場合もあります。けれど、そこまで信頼関係のできていない新規の顧客に対してそんなことをするわけにもいきませんしね。それに、少なくとも英文を読んで概略を伝えるという仕事はしているわけですから、それに対する評価や報酬だって本当はほしいのです。そこまでを含んだ包括契約ができればいいのですけれど、そこまで特殊なケースを含んだ包括的なパッケージはつくりにくいのも事実で。

最近、久しぶりにそういう判断に迷う案件がありました。さて、どうしたものかと…



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