ありがとうは潤滑油

この記事は、2010/02/16にポストしたものの再掲です。

翻訳事務所の重要な仕事は翻訳者とクライアントの間の橋渡しです。これは、単なる伝書鳩ではいけません。クライアントの言い分を翻訳者に取り次ぎ、翻訳者の言い分をクラインとにそのまま伝えるのなら、直接クライアントと翻訳者でやりとりしてもらった方がよっぽど間違いがありません。翻訳者からの質問は、たいていはクライアントに伝えるまでもなく、事務所として対処します。クライアントからの質問に関しても同様です。これは、あらかじめクライアントの要望を正確に把握し、また翻訳者の翻訳に背景にある意図を正確に理解することによって可能になることです。そのぐらいの仕事をしなければ、中間でマージンをとっている値打ちがありません。もちろん、把握しきれていない部分、理解できない部分に関してはクライアントや翻訳者に質問を伝えることもありますが、比率としては多くありません。

ということで、原稿と指示書以上にクライアントの声が翻訳者に届くことはないし、翻訳文とごく稀な訳者注記以上に翻訳者の声がクライアントに届くこともありません。これがあるべき姿なのだと考えます。仕事は仕上がりがすべてですから。

ただ、そんななかでひとつ、クライアントの声をできるだけそのまま翻訳者に伝えるよう心がけていることがあります。それは、クライアントの感謝の声です。仕上がりに満足しているという声は、翻訳者にとって何より嬉しいものです。それが次の仕事の質を向上させることにもつながります。

「ありがとう」の言葉は、人間社会のあらゆる関係の潤滑油です。この油を切らさないようにしたいものだと思います。



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